精神障害者スポーツ大会

【バレーボール】競技実施マニュアル

全国障害者スポーツ精神障害者バレーボール(ソフト球)

精神障害のある方が、スポーツ競技をする上でバレーボール指導者・精神保健福祉等関係者・競技者本人(精神障害者)の課題や留意する点、それに対する解決方法や手立てを示します。

PDF精神障害者スポーツ競技実施マニュアル
全国障害者スポーツ精神障害者バレーボール(ソフト球)

1.チームの指導者に求められること

課題

指導者としての資質を持ち、あわせて、競技規則の熟知をしましょう。

実施の手引きと目標

  • 常日頃から、国際競技規則や全国大会規則集を熟知していることが大前提です。他、関係規則資料の習得も不可欠です。そのためには情報や資料を頻繁に入手できる環境が必要です。障害者スポーツ団体や関係機関を上手に利用しましょう。
  • 指導者(監督)は競技の公認審判員資格を有していると、より熟達した知識の元に指導が行えます。
  • 日本障害者スポーツ協会等から、競技別の教則指導本が出版されており、情報誌にも指導方法が掲載されています。普段から貪欲に学習をし、実践場面での指導に生かしましょう。
  • 指導は1人では行えません。複数の指導者と互いに情報交換や振り返りを行いながら経験からも培われます。指導する立場も監督・コーチ・マネージャーと様々です。役割分担を行い、機能が最大限に発揮できるようにしましょう。例えば、監督は公認審判員、コーチは精神保健福祉関係者、マネージャーは当事者など。
  • 指導者としての資質向上は一朝一夕には成就しません。選手を心から理解しようとする姿勢が前提のうえ、効果的な指導方法やコミュニケーション、伝達技術が必要とされます。

課題

障害者スポーツに関する基礎知識の習得をしましょう。

実施の手引きと目標

  • 都道府県や障害スポーツ協会などが実施している障害者スポーツ指導者資格を取得し、指導員としての経験もあわせて身につけることが望ましいでしょう。指導者資格取得後は都道府県障害者スポーツ指導団体や日本障害者スポーツ指導者協議会に登録すれば、フォローアップの研修会や実践研修にも参加できます。
  • 知識そのものは文献・書籍でも習得はできますが、生きた知識や力・実感を身につけるには、障害のある人のスポーツ事業に積極的に参加し、サポートを重ね、障害特性を理解していくことがより望ましいでしょう。
  • スポーツ指導者は精神保健福祉関係者に、障害特性や症状について遠慮なく相談できるよう、精神保健福祉専門職との連携も重要です。

2.地域体制・協働、環境改善に向けて

課題

関連団体や三障害者の組織との協働・連携を確立しましょう。

実施の手引きと目標

  • 各地域には、競技団体や、身体障害者・知的障害者スポーツ団体が活動しています。また三障害者(身体・知的・精神)のスポーツを総合的に推進する組織も必ずあります。大会時だけでなく日常の活動から連携をとると互助的な体制づくりにつながります。
  • 練習交歓や交流の機会にも積極的に参加することで、指導者だけでなく選手同士の意識向上にもなります。

課題

各都道府県・政令市における行政側の体制を確立しましょう。

実施の手引きと目標

  • 各種公的大会参加に関しては公的機関との調整は必至です。担当課と直接調整を行う場合もあれば、スポーツ協会等が関与する場合もあるでしょう。全国大会に関しては、精神障害者種目は正式競技の歴史もほとんどなく、充分に理解されていないことが予想されます。行政側の理解が進むよう積極的に関与しましょう。
  • 都道府県大会や、都道府県代表チーム編成時にも、必ず行政機関が関与することとなります。その機会には充分に行政側との意思疎通を図り、理解と推進に努めましょう。

3.チーム・選手への指導上、望まれること

課題

チームは都道府県・政令市代表としての意識向上がなされるようにしましょう。

実施の手引きと目標

  • 公的大会参加の場合は病院など一組織のチームではなく、都道府県代表(政令市)としての代表です。その使命を認識した上で大会には参加しましょう。
  • 都道府県(政令市)代表のチーム作りの方法は様々で、関係者により選抜されることもあります。また、クラブが母体となることもありますが、その場合は都道府県内(政令市)のメンバーが幅広く参加できるよう地域クラブや基幹型クラブの構造が望ましいでしょう。
  • 都道府県(政令市)毎に、精神障害者の競技団体が結成されることが求められています(例えば各都道府県障害者バレーボール協会や精神障害者バレーボール協会等)。各チームと選手が登録され、全国組織の傘下に入ることで全国大会などへの参加やチームの運営が充実してきます。

課題

充分な参加資格の達成がされるようにしましょう。

実施の手引きと目標

公的大会参加選手は精神障害者福祉手帳の取得が望ましいでしょう。大会参加までには選手の手帳取得を推進しましょう。

4.選手の把握について

課題

選手の服薬について考慮しましょう。

実施の手引きと目標

  • 選手は精神疾患上、全員が服薬していると思われます。練習や試合の負荷と服薬の関連を考慮しましょう。
  • 運動選手には副作用が少ない非定型抗精神病薬が適していると思われます。適不適はありますが、よりよい投薬も考慮してみるよう、医療関係者との調整も不可欠です。
  • 服薬や体力に関しては本人の自己管理やセルフコントロール力が最も必要です。選手自身がその力を備えられるよう日常の過ごし方が重要になります。

課題

選手はスポーツに取り組むことでQOLが向上するように支援しましょう。

実施の手引きと目標

  • スポーツを始めると体力の増強、生活リズムの安定や意欲の向上、目標の設定や生活の張りが出てくるなど、よい効果が見られます。それが日常生活にも波及するよう支援しましょう。
  • スポーツに打ち込むことで、生活や人生に自主的に取り組み、対人関係の改善と仲間作りや、修学や就労に向けても前向きに生きていけるよう自立を支援しましょう。

5.精神障害者スポーツ環境改善と社会参加の推進

課題

選手がスポーツに取り組んでいる姿を周りの人や社会に理解してもらいましょう。

実施の手引きと目標

  • 家族や関係者、一般の人に選手の熱心な取り組みを見てもらい理解が促進されるよう、社会に発信・啓発していきましょう。マスコミにも恐れず取り上げてもらいましょう。
  • 地域住民・学校・企業・行政分野との交流も積極的に行なっていきましょう。交流試合や事業も企画していきましょう。

課題

障害があっても、その人の状態にあったスポーツ活動が行えるよう推進していきましょう。

実施の手引きと目標

  • その人のニーズや障害特性に合ったスポーツができるよう競技種目を増やし普及していきましょう。
  • 技性の追求だけでなく、誰もがスポーツや運動を楽しめる機会が多く創出されることも重要です。楽しく参加できる選手のすそ野の広がりを目指しましょう。

課題

今後、競技規則の変更が検討される可能性があります。

実施の手引きと目標

現在、精神障害者バレーボール競技規則に関しては国際競技規則との相違点はあるものの、現行を望む声が多い。今後、競技規則の変更が考えられる際には、充分な検討がなされなければならないでしょう。

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